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あなたの経験が音楽を生み出す

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「久々に昔好きだった曲を聴いたら、当時気づかなかったフレーズや演奏がたくさん入っていて驚いた。」

ある生徒さんがこんな話をしてくれました。
きっと音楽制作を学んだことで、聴く耳が育ったのでしょう。
夢中で聴いていた曲を改めて聴くと新しい発見があったりします。
曲そのものは変わっていないのに、なぜ当時気づかなかったサウンドが聴こえるのでしょう?

音楽制作を続けているとメロディだけでなく伴奏や楽器の重なり方、音色の違いなど様々な部分に耳が向くようになります。これは単純に知識が増えただけではなく、「音楽脳」が育ったことによる結果だと思います。
私は映画やドラマを見ていて、ストーリー以上にBGMが気になってしまうことがあります。

「今のストリングスいいな」
「この楽器の組み合わせ面白いな」
「どういう意図でこの音を入れたんだろう」

と考え始めてしまいます。

気になると何度も巻き戻して見てしまうので、映画一本を見るのに思った以上に時間がかかることもあります。サラッとシーンを見過ごすだけでなく、流れているBGMに意識が傾いてしまう。これも「音楽脳」の影響だと思います。

音楽制作にとって音楽を聴き込む時間は大切です。
なぜなら、音楽は操作する時間だけで作られているわけではないからです。

現在私は映画の劇伴(BGM)制作をしているのですが、DAWソフトに向かう前にまず場面や登場人物の気持ちを想像しながら頭の中で音楽を組み立てていきます。

どんなサウンドで、どんな空気感で、どんな楽器が合うだろう?

そんなことを考えながら、まずは頭の中で音楽を作ります。
過去に聴いた音楽、作った音楽がリサイクルされて新たな曲が脳内でできてきます。

脳内で形になってきたらDAWソフトに打ち込んでいきます。フレーズを忘れてしまわないように、まずストリングスもシンセもピアノの音色で仮に打ち込んでしまうこともあります。

やがて進めていくうちに、最初に思い描いていたイメージから離れてしまうこともあります。そんなときは一度手を止め、もう一度脳内だけで制作し直したりします。

このとき頼りになるのは、日頃から蓄積されてきた音楽の記憶です。
私たちは子供の頃からたくさんの音に囲まれて生きています。

  • アニメ主題歌
  • ゲームBGM
  • テレビCM音楽
  • 映画やドラマの劇伴
  • ライブで体感した音
  • 何気なく耳にした街の音

そうしたひとつひとつが知らないうちに自分に蓄積されています。音楽制作を学ぶとそれらを以前よりも意識して聴けるようになり、「なぜこの音に惹かれるのだろう」「なぜこの場面でこの音楽なのだろう」と考えるようになります。これこそが音楽脳を養うということなのかもしれません。

音楽制作というと作曲や編曲の技術、機材やソフトの使い方に目が向きがちです。もちろんそれも大切ですが、それと同じくらい大切なのが「聴くこと」「想像すること」です。音楽を楽しみながら聴くこと、気になった音に耳を傾けること、その積み重ねがやがて自分の表現の引き出しになっていきます。

これまで耳に入ってきたサウンドのすべてが、あなたの音楽制作のヒントです。
今日聴いた一曲も何気なく見た映画のBGMも、未来の作品につながる大切な素材になっているはずです。